台風一過

少し前のよく晴れた日に
ずいぶん久しぶりに
1人で車を運転して
高速道路を走っていた時
 
 
ふいに
この1年
ほんとうにしんどかったなぁー
そんな身体の声とともに
疲労感や解放感
安堵がまじったような
感覚がやってきた
 
 
過去形で表現できるほどに
ようやく回復してきたんだと
うれしくなった
 
 
 
 
 
 
 
 
身体的にも
状況的にも
自由に身動きがとれない中に
閉じ込められていた日々だったからこそ
姿をクリアにみせてくれた
私のもっているパターン
人生の重み
 
 
時にそのあまりの重量感に
気を失ってしまいたくなるほどだった
 
 
それは私の人生のものだけではなく
これまで綿々と世代をまたいで
受け継がれてきたものたちや
そこに含まれる
それぞれの時代の人々の想い
そんなものも含まれているような
果てしなさがあった
 
 
 
 
 
 
重さがいつもそばにあり
それを感じ続ける日々
 
 
見たこともない自分を
たくさんみることになったり
今までのやり方が
あまり役にたたなくて
途方にくれて泣いてしまったり
私に向けられた
人の涙に救われたり
 
 
スケジュールを淡々とこなしていく
変わり映えのない毎日だったが
とても忙しい日々だった
 
 
 
 
 
 
 
 
毎朝ひどい疲労感と
全身の関節の痛みとともに
今日もまた一日が始まるのかという
絶望的な気持ちで起きる日々
 
 
さまざな重さを抱えながら
子どもと向き合い
そんな母であることを
時に申し訳なく思いながら
これが終わる日がくるのだろうかと
先に希望を見いだすことが難しかった日々
 
 
 
その日々が終わった
ようやく抜けたんだという
感触があった
 
 
 
 
 
 
久しぶりに身体の
いろいろなところで
細胞が生き生きと振動し
その時に流れていた音楽が
身体に流れ込んで響いてくるようで
この1年私のからだは閉じていて
音楽を聴覚だけで
聴いていたんだと気づいた
 
 
 
 
おかえりなさい
私のからだ
 
 
久しぶりの感覚に
安堵がゆっくり
広がっていった
 
 
 
 
 
 
 
 
人生には待つしかないときがあって
子どもの頃から
簡単には解決できないことに
ぶつかってしまったときは
暗闇のなかで
かすかに感じる光をたよりに
その光の方を向いて
今できることを続けながら
流れが変わるのを
しずかに待っていた
 
 
そうしていると
あるときふっと
流れが変わって
川のたまり場から
本流へ戻っていくように
人生の流れが変化していく経験を
何度もしてきたけれど
今回は本当に時間が必要だった
 
 
何度も暗闇に
のみこまれそうになりながら
抜けた先の景色は
やっぱりやさしく美しかった
 
 
 
 
待ちの時間があける時
台風によって
雨雲が運ばれた後の
晴天のような
瞬間がおとずれる
 
 
それは人生の中の
ほんの一瞬だけれど
そこで見た美しさは
私を励まし続ける
 
 
 
 
 
 
そんな経験を運んできてくれた息子
1歳のお誕生日おめでとう