「ノマドランド」を観てきた。
どこかにしっかりと帰属することなく
動きながら、流れるように生きる人たち。
その選択をした背景はさまざまだが
そこに描かれていた生き方、
物事や人との関わり方、
それは自分とそう違うものには感じなかった。
人の生きる基本は孤独であるということ。
さまざまな悲しみや喪失感を持ちながらみな生きているということ。
多くの人にとって今の暮らしや社会システムの中では
そのことをあまり感じないで済むようにできているけれども
私たちの基本はそこにあるということを改めて感じ、
人は孤独であり、みな一人で死んでいく。
この事実を見ない振りしないでいられることに
安堵を覚えた。
あんな風に流れるように生きていく選択肢もあるんだ
という気づきに肩の力が抜けて
自分を固定させようとしてきたものから
少し自由になれたような気がした。
美しいアメリカの壮大な景色の中、
変にシリアスになることも
ドラマチックに語られることも
きれいごとにまとめられるようなこともなく
淡々と物語が描かれていて
観る側に大きな余白を残した表現だったからこそ
観てしばらくたった今も
たまにこの物語に思いをはせては
色々なことを感じている。